nabe cape/Osaka

ALL photo by Shinya YOSHIDA

岬町の一棟貸しの宿泊施設の計画です。

「岬町の海の波音や風、光をより愉しむ空間」をコンセプトに設計しました。

4面を隣地と道路に囲まれた不整形な敷地です。

外壁周りに窓をつくらない設計とし、

内部に3つの明るさや大きさが異なる中庭をつくることで

閉じながら、開くセミパブリックな空間をつくりあげています。

キッチンはsanwa companyさんのウィッテを採用しています。

エッジが効いて美しいです。

広く開放的であるため、宿泊の他、料理教室やセミナーなど、多目的な使い方ができます。

天井吊りのプロジェクター(ポップインアラジン)と100インチスクリーンにより、映画や写真などをみながら、大勢が集まって食を愉しむことができます。

アプローチのピロティでは、リビングダイニングの延長として、海を眺めながら食事や団らんを愉しむことができます。

県道沿いからの眺め。

キッチンやダイニングテーブルがディスプレイされ、宿泊してみたいと思うような美術館のような整然とした空間を計画しました。

2階の宿泊室と宿泊室の間には光庭を計画しています。

ベッドの宿泊室からは、光庭を介して2段ベッドの宿泊室が見えます。

光庭が明るく、そして緩やかに空間を分けてつなげています。

秘密基地のような2段ベッドです。4人が宿泊できるベッドで、各枕元にはコンセント+USB端子がついており、タブレットやスマートフォンの充電ができます。

岬町の海と空をイメージする色を空間に散りばめています。

お風呂からは坪庭が見え、ナンテンやカンツバキ等を植栽しています。

日本的な庭を見ながら、お酒を飲むこともできます。

不整形な敷地形状と4方囲まれた立地条件を生かして、1階と2階をつなぐ中庭を計画しました。

窓を外壁側に設けなくても、光や風が入り込んできます。

外構は、塩害に強く、かわいい実がなるオリーブを2種類とカエデ、モミジなどの四季を愉しめる植物を植えています。舗装面以外は割栗石を敷設し、敷地内に水たまりや虫ができる限り発生しないよう配慮しました。

2m×2.5mの大きな木製の玄関扉です。

こちらは一から設計し、できる限りシンプルにかつ美しく納めました。

50mmの厚みの中にグラスウールを充填しているため、断熱性能が高い扉となっています。

宿泊施設のため、リモートロックを設えています。

岬町の新しいシンボルとして、美しく佇む空間となり、多くの宿泊者の方に楽しんでいただける場所となればよいと思っています。

模型やスケッチ、CGを作成し、クライアント様とイメージを共有できるよう分かりやすい設計プロセスに努めました。

2023年2月竣工

設計・監理:石橋優介建築設計事務所

構造計画:朝野構造事務所

施工:津田辰工務店株式会社

運営:ハウスバード株式会社

写真:Shinya YOSHIDA